先日、Xのタイムラインを眺めていたら、ふと『マーズ・アタック!』のムービーTシャツが流れてきて目に留まりました。思わず久しぶりにU-NEXTで観てしまいました。
今見返しても、CG黎明期ならではのレトロフューチャーな質感や、火星人たちに人類が翻弄される設定は最高で、また、ティム・バートン監督特有の毒々しくもポップな「画」の作り込み、一度見たら忘れられないあの強烈なビジュアルが、サブカル好きな私にはたまりません。
本記事では、そんなトンデモSF映画『マーズ・アタック!』について、豪華すぎるキャスト陣の紹介から、大人になった今だからこそ分かる痛烈なブラックユーモアの深み、そしてサブカルチャーな魅力をレビューします。
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映画『マーズ・アタック!』の基本情報・あらすじ・サブスク配信状況
出典:YouTube(Rotten Tomatoes Classic Trailers)
基本情報
| 公開年 | 1996年 |
| 原題 | Mars Attacks! |
| 監督 | ティム・バートン |
| 脚本 | ジョナサン・ジェムズ |
| 音楽 | ダニー・エルフマン |
| 配給 | ワーナー・ブラザース |
| 上映時間 | 106分 |
| ジャンル | SF、コメディ |
あらすじ
ある日、無数の空飛ぶ円盤が地球へ飛来する。アメリカ大統領は「高度な文明を持つ彼らは平和主義だ」と信じ、火星人を大々的に歓迎した。しかし、「我々は平和のために来た」という宣言の直後、火星人たちは突如レーザー銃を乱射し、人々を次々と緑色の骨に変え始めたのだ。
容赦なく街を破壊し尽くす火星人たち。圧倒的な戦力差の前に絶体絶命の危機に陥った人類。果たして反撃のチャンスは残されているのか……。
視聴できるサブスク動画配信サービス(VOD)
現在、『マーズ・アタック!』は以下の主要な動画配信サービス(VOD)で視聴可能です。
| U-NEXT | 見放題作品として配信中 |
| Amazonプライム・ビデオ | レンタルまたは購入にて配信中 |

『マーズ・アタック!』超豪華キャスト紹介
『マーズ・アタック!』魅力を語る上で、豪華なキャスト陣の紹介は欠かせません。アメリカ大統領ジェームズ・デイルと、ラスベガスの不動産王アート・ランドの一人二役を演じる名優ジャック・ニコルソンをはじめ、画面のどこを見ても主役級のスターばかりが登場します。
ジャック・ニコルソン(大統領ジェームズ・デイル役/不動産王アート・ランド役)
『シャイニング』や『バットマン』のジョーカー役などで知られる、ハリウッドを代表する伝説的俳優です。狂気を孕んだ怪演からコミカルな役までこなす圧倒的なカリスマ性を誇ります。
1996年頃の状況:すでにアカデミー賞を複数回受賞し、誰もが認める大御所中の大御所でした。翌1997年には『恋愛小説家』で3度目のアカデミー賞(主演男優賞)を受賞することになる、まさにハリウッドの頂点に君臨していた時期です。
グレン・クローズ(大統領夫人マーシャ・デイル役)
『危険な情事』などの鬼気迫る演技で高く評価され、トニー賞やエミー賞も多数獲得している実力派トップ女優です。
1996年頃の状況:本作と同年に公開された実写映画『101』(1996年)にて、悪役クルエラ・ド・ヴィルを強烈に演じ、世界中で大絶賛を浴びていた大ブレイクの年です。
アネット・ベニング(バーバラ・ランド役)
『アメリカン・ビューティー』などで知られる名女優。知的な役からエキセントリックな役まで幅広くこなし、アカデミー賞に何度もノミネートされている実力派です。
1996年頃の状況:1992年に大物俳優ウォーレン・ベイティと結婚して大きな話題を集め、前年の映画『アメリカン・プレジデント』(1995年)では大統領と恋に落ちるヒロインを演じてキャリアを確固たるものにしていました。
ピアース・ブロスナン(ドナルド・ケスラー教授役)
アイルランド出身の俳優で、映画『007』シリーズの5代目ジェームズ・ボンドとして世界的な知名度を誇るハリウッドきっての伊達男です。
1996年頃の状況:前年の1995年に『007 ゴールデンアイ』でジェームズ・ボンド役に初就任し、世界的大ヒットを記録。まさに「知的でセクシー、どんな危機も乗り越える無敵のヒーロー」としてのイメージが絶頂に達していた時期です。
ダニー・デヴィート(ラスベガスのギャンブラー役)
『ツインズ』などへの出演で知られる小柄な名バイプレイヤーであり、監督やプロデューサーとしても大成功を収めている多才なコメディアン・俳優です。ティム・バートン監督とは『バットマン リターンズ』(1992年)のペンギン役でタッグを組んだ盟友です。
1996年頃の状況:プロデューサーとしても俳優としても絶好調であり、同年には自身が監督・出演を務めた映画『マチルダ』をヒットさせていました。
マーティン・ショート(大統領報道官 ジェリー・ロス役)
『サボテン・ブラザース』などで知られ、アメリカのコメディ番組『サタデー・ナイト・ライブ』出身の天才的なコメディアン・俳優です。オーバーアクションと軽妙なトークを得意とします。
1996年頃の状況:前年に『花嫁のパパ2』(1995年)に出演するなど、コメディ映画の名バイプレイヤーとして確固たる地位を築いていました。
サラ・ジェシカ・パーカー(TVレポーター ナタリー・レイク役)
後に世界的ヒットドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』のキャリー役で大ブレイクし、世界的なファッションアイコンとなる人気女優です。
1996年頃の状況:大ブレイクを果たす少し前の時期ですが、ティム・バートン監督の前作『エド・ウッド』(1994年)にも起用されており、監督からの信頼が厚いミューズの一人でした。同年には『ファースト・ワイフ・クラブ』にも出演しています。
マイケル・J・フォックス(ニュースキャスター ジェイソン・ストーン役)
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズのマーティ役で世界中から愛される、80〜90年代ハリウッドを代表する永遠のトップスターです。
1996年頃の状況:ピーター・ジャクソン監督の『さまよう魂たち』で主演を務め、さらに同年から大ヒットシットコム『スピン・シティ』の放送が開始されるなど、テレビ・映画の第一線で精力的に活躍していました。
ロッド・スタイガー(デッカー将軍役)
『夜の大捜査線』(1967年)でアカデミー賞主演男優賞を受賞した、ハリウッド黄金期を支えた伝説的な名優です。徹底した役作りを行うメソッド演技法の重鎮として知られています。
1996年頃の状況:70代を迎え、圧倒的な威厳と凄みを活かして数多くの映画で高官やマフィアのボスなどの権力者を演じていた、ハリウッドの長老的な存在でした。
トム・ジョーンズ(本人役)
『よくあることさ』や『恋はメキ・メキ』などの世界的ヒット曲で知られる、イギリス・ウェールズ出身の伝説的シンガーです。圧倒的な歌唱力とフェロモンで、ラスベガスのショービジネスを象徴するセックスシンボルでもあります。なんと「ラスベガスで営業中のトム・ジョーンズ本人」として実名で登場。火星人の襲撃に巻き込まれるも、ただの犠牲者にはならず、銃を手に取って元ボクサーたちと共にエイリアン相手に大立ち回りを演じます。
1996年頃の状況:90年代に入って若手アーティストとのコラボやクラブミュージックへのアプローチを行い、再ブレイクを果たしていました。ポップカルチャーのアイコンとして、自らのパブリックイメージを楽しむ余裕を見せていた時期です。
ルーカス・ハース(ドーナツ屋の店員 リッチー・ノリス役)
ハリソン・フォード主演の映画『刑事ジョン・ブック 目撃者』(1985年)で、殺人事件を目撃してしまうアーミッシュの少年を演じて天才子役として絶賛された実力派俳優です。
1996年頃の状況:子役から大人の俳優への過渡期にあり、ウディ・アレン監督の『世界中がアイ・ラヴ・ユー』(1996年)などに出演。インディペンデント映画から大作まで、個性的な脇役として存在感を発揮し始めていた時期です。
ナタリー・ポートマン(大統領の娘 タフィ・デイル役)
後に『ブラック・スワン』でアカデミー賞主演女優賞に輝く、知性と美貌を兼ね備えたハリウッドのトップスターです。
1996年頃の状況:リュック・ベッソン監督の『レオン』(1994年)のマチルダ役で世界に衝撃を与えて大ブレイクした直後。本作のほか『ヒート』(1995年)や『ビューティフル・ガールズ』(1996年)に出演し、スター街道を駆け上がっていたまさに「無敵の10代」でした。
ジム・ブラウン(元ボクサー バイロン・ウィリアムズ役)
NFL(アメリカンフットボール)の歴史に残る伝説的スター選手であり、引退後は『特攻大作戦』(1967年)などでタフなアクション俳優として大活躍した、アメリカのポップカルチャーにおける英雄的存在です。
1996年頃の状況:60歳を迎え、現役のアクションスターからは退いていましたが、数々の映画でその圧倒的な体格とカリスマ性を活かしたリスペクト枠(カメオや脇役)として出演し、黒人層をはじめ多くの映画ファンからリスペクトを集める重鎮でした。
リサ・マリー(火星人のスパイガール役)
独特のミステリアスな美貌を持つモデル・女優。1990年代のティム・バートン監督のプライベートにおける婚約者であり、彼の作品に欠かせない「ミューズ(芸術の女神)」として知られていました。
1996年頃の状況:バートン監督の前作『エド・ウッド』(1994年)で伝説のカルト女優ヴァンピラを妖艶に演じて注目を集め、公私共にバートン監督のパートナーとしてメディアに頻繁に登場していました。
シルヴィア・シドニー(フローレンス・ノリスおばあちゃん役)
1930年代のハリウッド黄金期に『街の風景』やアルフレッド・ヒッチコック監督の『サボタージュ』などで活躍した、映画史に名を残す伝説的トップ女優です。
1996年頃の状況:当時すでに86歳。ティム・バートン監督の出世作『ビートルジュース』(1988年)で死後の世界のケースワーカー(ジュノー)を演じてカルト的な人気を再獲得しており、バートン作品に欠かせない敬愛するレジェンドとして迎えられました。
ポール・ウィンフィールド(ケイシー将軍役)
映画『サウンダー』(1972年)で黒人俳優として歴史に残るアカデミー賞主演男優賞ノミネートを果たした名優。『ターミネーター』(1984年)のトラクスラー警部役などでも知られています。
1996年頃の状況:その重厚な声と威厳ある佇まいから、政府高官、将軍、裁判官、警察署長といった権威ある役柄を任されるハリウッドのベテラン・バイプレイヤーとして確固たる地位を築いていました。
パム・グリア(ルイーズ・ウィリアムズ役)
1970年代のブラックスプロイテーション映画(『コフィ』『フォクシー・ブラウン』など)を牽引した、映画史に残る最高にクールなアクションヒロインです。
1996年頃の状況:長らく低迷期が続いていましたが、ジョン・カーペンター監督の『エスケープ・フロム・L.A.』に出演するなど徐々にキャリアの再評価が進んでいた時期。クエンティン・タランティーノ監督が『パルプ・フィクション』の熱狂の後に放った『ジャッキー・ブラウン』(1997年)で大復活を遂げる、まさにその前夜といえるタイミングでした。
ジャック・ブラック(ビリー・グレン・ノリス役)
後に『スクール・オブ・ロック』や『カンフー・パンダ』で世界的なコメディスターとなり、ロックバンド「テネイシャスD」としても活躍する唯一無二のエンターテイナーです。
1996年頃の状況:当時はまだ無名に近く、『デモリションマン』や『ケーブルガイ』などで端役をこなしながら、下積み時代を送っていた20代後半の若手俳優でした。

レビュー|サブカル好きには至高の傑作
子供にはトラウマが、大人には最高
子供の頃に観ていたら、あの脳みそ剥き出しの火星人のビジュアルと、人間が一瞬で緑色の骨になってしまうシーンは強烈すぎて、トラウマになっていたことでしょう。しかし、映画やサブカルチャーの奥深さにどっぷり浸かった大人が観れば最高の映画です。
権力者たちをコケにする痛烈なブラックユーモアに笑い、圧倒的な画の強さに終始ワクワクが止まりませんでした。また、火星人のデザインも、キッチュで最高です。気がつけばアメトイショップやメルカリでフィギュアを探し回ったり、火星人がプリントされたムービーTシャツを思わず探してしまうほどの狂気的な魅力があります。
レトロフューチャーなB級映画の雰囲気
1996年という年は、まだCG技術が発展途上にあった時代です。その「作り物感」こそが、レトロフューチャーなB級映画の雰囲気を際立たせる最高の「味」として機能していました。
火星人の不気味な動きや、原色を多用した毒々しい色使いは、ティム・バートン監督の頭の中にあるポップな悪夢をそのまま映像化したかのよう。この時代、この監督だからこそ生み出せた、唯一無二の映像美があります。
ティム・バートン監督ならではの社会風刺
通常のパニック映画なら、「優秀な大統領が感動的な演説で世界を一つにする」「勇敢な軍人や天才科学者が解決策を見つけて人類を救う」といった展開が定石です。しかし本作では、大統領の必死の平和的スピーチは全く通じず、軍人は無謀で、いかにもヒーローになりそうなキャラクターからあっけなく命を落としていきます。
立派な肩書きを持つエリートたちが次々と滑稽に倒れていく一方で、世界を救うきっかけを作るのは、社会の隅で生きる「認知症気味のおばあちゃん」や「冴えない若者」たちです。大作映画のセオリーをあざ笑うかのようなこの痛烈なブラックユーモアこそが、バートン監督ならではの社会風刺であり、本作が今なおカルト的な人気を誇る最大の理由ではないでしょうか。
王道SF『インデペンデンス・デイ』との数奇な比較
奇しくも同じ1996年に公開されたメガヒット映画『インデペンデンス・デイ』は、「人類が団結して宇宙人の侵略に立ち向かう」という、感動的でヒロイズムあふれる王道SFアクションの傑作でした。
一方、『マーズ・アタック!』はその真逆をいく徹底したおふざけ路線です。王道の感動作に胸を熱くした直後に本作を観て、あまりのギャップとバカバカしさに唖然とした当時の観客も多かったと言われています。
「つまらない」と言われる理由とおすすめできる人
ネット上のレビューで「つまらない」という声を見かける理由は、本作に「王道のSFアクション」や「感動的なヒューマンドラマ」を期待してしまったからでしょう。
感動や教訓を求める人にはおすすめしません。しかし、「ハリウッド映画のベタな展開を笑い飛ばしたい」「毒っ気のあるサブカル要素が好き」「何も考えずにシュールな笑いに浸りたい」という方には、間違いなく刺さる至高のサブカル映画です。

まとめ
ティム・バートン監督が放つ異端のSFコメディ『マーズ・アタック!』。超豪華なハリウッド俳優陣、チープだからこそ愛おしいCG、そしてカントリーソングで宇宙人を撃退する痛快なユーモアは、公開から長い時が経った今でも全く色褪せません。
子供の頃はトラウマ級に怖かった火星人たちも、大人になった今見れば最高のポップアイコンです。この圧倒的なB級感とキッチュな映像美にはサブカルチャーの魅力が詰まっています。
現在、U-NEXTでは見放題配信中ですので、ぜひこの機会にいかがでしょうか。
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